釣られた魚(大好きな人に、別れを告げた日のこと)

2019年5月9日 更新 LOVE
釣られた魚(大好きな人に、別れを告げた日のこと)
人間は、なぜ悲しい思い出よりも、幸せな思い出が先にでるのだろうか。連絡がこない、会えない、そんな中でも優しい言葉のひとつもない…。もうだめだ…と思うのに、優しかった時を思い出し期待してしまうバカ女とは、私のことだ。恋は盲目。それでもこの人となら、大丈夫だと思ってしまった。

出会い

Phone Cell Camera - Free photo on Pixabay (302)

彼との出会いはコミュニティサイト。今や、SNSで人と出会うことも珍しくない中、警戒心の強い私は、日常生活とSNSは割り切りインターネット上の人物と会うやり取りは、仕事以外ではしたことがなかった。そんな私のルールを簡単に違反させた男がいる。同じような趣味・考え方、人生の経験値も高く、仕事の仕方や生き方そのものがとても魅力的な人だった。そんな彼は、私の守ってきたルールを簡単に違反さようとしている。

気持ちに素直に生きる

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好きになってしまったものは、仕方ない。自分の気持ちをコントロールできるほど、私はできた人間ではないのだ。そう思いながらも、ずるずると約1年の月日が過ぎる。“会おうよ!”と、アポさえとれば数十分で会える距離なのは知っているが、それが怖くて言い出せない。一体どんな人なのだろうか…。相反し、次第に会ってみたいと思う気持ちが膨らんだ。

しかし、私はズルい。やっと言い出した言葉が、“会いたい” ではなく話しの流れの中で、“明日、15時にサザンテラスのスターバックスに居る” だった。重くなるのが嫌で、軽いテンションで伝えたところも、より一層ズル女なのだ。もちろん、来るか来ないかなどわからないが、不思議と彼は来ると確信していた。

不思議な出会い

心臓が体から出て、引きずり歩いているような気分だった。外はあいにくの雨。相変わらず、私は雨女なのだと思いながら、約束場所・約束の時間少し前、お気に入りのチャイティーを注文し席についた。そして現れるのが、彼である。
“すぐに分かったよ”と彼は言う。そう?と私は微笑み、どこかに行こうかと誘った。顔を見る程の余裕もなく傘で照れる顔を隠したかったからだった。

世界が彼色になる

Engagement Couple Romance - Free photo on Pixabay (301)

そこからの話しは早い。LINEや電話を頻繁にするようになることは、もちろんの事時間を合わせて度々会うようになった。そんな時間を重ねるうちに“好き”ということを告げられ同じ気持ちの私は、とても幸せな気持ちになった。

釣った魚に餌をやらねば死ぬ

そう、私はまんまと釣られた魚になってしまったのだ。もちろん、お互いの気落ちを確認した後の彼からは、心躍るような優しいメッセージが沢山届いていたのだ。しかし日が経つにつれ、そんな連絡が少なくなる。送られてくるLINEに、もう当時の気持ちがないのは明らかだった。ここからが地獄だ。気持ちが不安定でしかたない。連絡を待ち、すぐに返信しないように気を遣う。内容も嫌われないように返事をするようになり 私は大好きだよ と言わんばかりに、ハートをつけたりするようになった。会いたいと言えば忙しいと言われ、重くないかな…嫌われないかな…と、連絡することも誘うことも苦しくなった。そして、ついに精神が崩壊する。我慢していた分の気持ちが爆発するのだ。

衝動的に電話をかけ、最近冷たい。寂しい。会いたい。と号泣した。そんな彼でもいい、彼となら何があっても大丈夫に違いない。ただ、今の気持ちを整理したかった。寂しくさせてごめんね。と言ってほしかっただけなのだ…。

しかし、彼が言った言葉は、“俺は優しくできるタイプじゃない、期待されても困る。それに、お前はいつだって自分の事ばかりで俺の事は考えないのか。“だった。何が何か分からず頭はフリーズ、不思議と涙も止まる。私は、何かいけない事をしてしまったのか。何か、言ってしまっていたのか…。少しでも期待した自分がとても惨めで消えたい気持ちでいっぱいになった。

それからの私

心を癒す薬は、時間しかない。そこに、共感してくれる友人・おいしい食べ物・癒しのペットなどが身近にあれば相乗効果で、癒す効果が高くなるのだろう。しかし、そんな上手くはいかない。夜が長く、声が聞きたく、心が張り裂けそうになる。心の声に耳を傾けると、今すぐにでも電話したい連絡したい。と騒ぐのだが、そこはぐっと堪えた。感情的に話して通じる相手ではない、冷静に考えられるまで、連絡はしてはならない。と、思っていたからだ。気持ちの波がジェットコースターみたいだった。思い出して温かい気持ちになるときもあれば、悲しみの沼にはまり、考えれば考えるほど沼から抜け出せない。

苦しまぎれにスマホで”悲しみ“ ”別れ“などと検索する。その中に、涙には癒しの効果があるだとか、ストレスの発散になるのだとか書いてあったけれど、サッパリわからない。こんなときこそ効果を実感したいのだが、癒しなどの効果は、ある程度までの傷までにしか効かないのかとも思えた。一人でいると、どうしても考えがまとまらず、気分転換にと、大学時代の友人に電話をかけた。客観的な意見を聞き、愚痴を言い合い、沢山笑った。久々に心が軽くなる。多くの女性は、気の合う誰かと話をすることで心の健康を取り戻せるのかもしれないと思った。
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そうこうするうちに、少しずつ心の整理ができた。“こんなに心が不安定になる人と、この先うまくいくとは思えない。“そんなつもりがなくとも、自分の事ばかりだと思われてしまうのは私もそうだが、彼も苦しめ、お互いに悲しいことだ。“と、いう気持ちが芽生えた。そして、彼とは別れるのだが、後悔は一切していない。


恋は盲目。本当に、その通りだと思う。何でもよくなるのだ、彼がいてくれれば。しかし、そこに不安定すぎる自分がいて悲しみ、苦しい自分がいるのであれば、誰かに相談し、冷静に自分を見つめる時間があると新しい自分に出会えるかもしれない。これを気に、悩んでいる女性がいるのであれば心の声に耳を傾けてみてほしい。金魚鉢の金魚のように行動に制御をかけ餌を待ち続ける“釣られた魚”になっていないだろうか…?と。