友達10人に聞いたらその全員から『スポーンと産みそうだよね!』と言われるタイプ。
そんな私が体験した36時間続く陣痛からの娘に会えるまでのお話、後編です。
長い陣痛を耐える中、痛みの合間に検索して読むことで私を救ってくれたのが様々な人の出産記録でした。
私のケースも誰かの勇気となれるよう願いをこめて、陣痛中に記録しておいたメモを元に時系列を追ったリアルな出産記録をお伝えします。
前半はこちら

陣痛から18時間が経過。長い病室での夜
7月3日 22時
明け方4時に陣痛を感じてから既に18時間が経っていました。
朝は3〜5分間隔だったはずの陣痛が、日中身体を動かし続けたのに8分間隔に伸びていたショックを隠しきれないまま病室に戻ってきました。
病院の消灯時間は過ぎ私はすごく疲れていたけれど、眠ってしまうと陣痛が完全になくなってしまいそうで寝るのを躊躇する気持ちが溢れ出します。
ただスクワットのしすぎで足腰も疲れていて、この先もどれだけ長くかかるか分からないという想いから、一度体力を回復しようとリクライニングで頭を上げたベッドに座りました。
23時
気がつけば、1時間程眠ってしまったようです。でもさっきまでと感覚が違う!痛みはだいぶ強くなっていました。
この時ちょうど助産師さんが見回りに来て下さり、陣痛間隔を測ると5分程。痛みの長さも持続してきていると言われました。
本陣痛であれば眠ることによって痛みが途絶えることはなく、逆にリラックスすることで陣痛が進むケースもあるそうです。
日中動き続けていたし、休んでも陣痛は続くだろうから夜の間は無理せずに身体を横にするようにと話しがあり、私はその通り少し休むことにしました。
とうとう24時間が経過し、朝がやってきた

7月4日 朝4時
陣痛開始から24時間が経過。痛みが強くなってきた前日23時から、ベッドに軽く横になりつつウトウトしながらも、陣痛がきたらアプリでカウントをする、という作業を繰り返し朝を迎えることになりました。
体力こそ消耗していたけれど、何よりも大きかったのは精神的な辛さ。
私より後に病院に来た人が先に産んでいき、近くで聞こえる赤ちゃんの産声。部屋の天井を見上げて、ああいつまで続くのかなと何回涙が出そうになったか…
でも一人じゃない、赤ちゃんも頑張ってる、泣いてたらこの気持ち伝わっちゃう、とその度にこらえていました。
夫は何故来ない?救われた助産師さんの存在

10時
私は夫を待っていました。
夜中の時点で「朝早めに出て真っすぐ病院に向かってもらえれば、立ち会い間に合うと思う!」と伝えていたつもりだったし、仕事には行かずに病院に向かってくれるものだと勝手に思い込んでいました。
前日の昼からほぼ一人きりで、眠らずにひたすら陣痛がくるよう過ごしていたので私はすごく孤独を感じていたのです。誰かと話したかったし、赤ちゃんに早く会いたい気持ちを共有したかった。
しかし何故か夫は病室には入れないと勘違いをしていて、いざ産まれる!という時に連絡をもらって病院に来ようとしていたようです。
病院ではなく仕事に行っていると分かり、私は寂しさと怒りと、何で分かってくれないの?という気持ちでいっぱいになりました。
痛みが本当に強くなってきた時に自分で連絡なんて出来るわけないのに。
しかし夫に怒る元気もなく、一刻も早く来て欲しくても、あと何時間かかるかも分からない状態で「今すぐ来て!」というのも申し訳ない気持ちがあり、夫のタイミングで来られる時に来てもらうことにしました。
産むのは私。これでもし夫が立ち会い出産に間に合わなくても、それは夫の責任。
夫には父親として、出来ることを自分で考えて欲しいと思いました。
ちなみに夫の名誉のために書いておくと、普段はとても優しく私のことを気遣ってくれる人です。しかし出産ともなると、私も細かい説明や要望を伝える余裕はなく「察して欲しい」という気持ちが出てきていました。
産む時にはこうして欲しい、病院はこういうルールがある、というのを事前にもっと共有しておくべきだったと思います。
そんなときに、本当に大きかったのが担当助産師さんの存在です。
24時間を突破してから産む瞬間まで付いていて下さった助産師さんが、本当に気持ちに寄り添ってくれました。陣痛が進まないときは一緒に歩いて、沢山マッサージをしてくれたり様子を見に来てくれて。一人きりで陣痛と戦っていた私にとっては、その存在がすごく心強かった。
そして感動だったのが、痛くてたまらない時に助産師さんの言う通りに呼吸をして力を抜くだけで、本当に傷みが和らぐ!助産師さんを信頼して、話を忠実に守ってよかった!と思います。
促進剤が決定!赤ちゃんが中から蹴って破水?!

13時30分
あまりにも陣痛が長く変化がないため、赤ちゃんが今どんな位置にいるのか・異常がないかを一度レントゲンで見ることになりました。
陣痛中にまさかレントゲンを撮ることになるとは……と思いながらレントゲン室まで一人で歩きました。結果、赤ちゃんは元気で特に異常もなく一安心!
そして陣痛開始から34時間が経つため、点滴で促進剤を入れることを決定しました。「これでやっと産める」と、ほっとしたのを覚えています。
14時45分
私が点滴を打ちはじめて少し経った頃、ようやく夫が到着。
これまでの気持ちが爆発した私。涙が止まらなくなりました。
本当に安心しました。一緒に頑張れる……
促進剤のおかげか、この頃には間隔は2〜3分。痛みはかなり強くなっていました。
今思えば、お腹の赤ちゃんはパパの到着を待っていたのだと思います。
痛みの無い時に夫と話していると、その瞬間お腹につけたモニターから「ドンッ!!」という音と「パチン!」という感覚が!私は思わず「痛い!」と声が出ました。
なんと、お腹の中から赤ちゃんが蹴った衝撃で破水したのです!
陣痛開始から36時間。とうとう産まれる瞬間へ

15時20分
破水した瞬間からいっきに強くなる痛み。急いでナースコールを押し、分娩台に移動しました。夫は私の肩に触れ、さすってくれています。
声を出さずにはいられないくらい痛かった……けど、もう本当にあと少しでようやく会える!という気持ちの方が断然強かったです。
分娩台で3回程いきみ逃しをしたあと、すぐに「次からいきみましょう!」という助産師さんの声。
ベッドのレバーを両手で掴み、自分の方に引きながらグッと力を込めます。
「頭が見えてきたよ!あと少しだよー!」という助産師さんと、「もう少し、あとちょっと、がんばれ!」と手にも力が入る夫の声。
一番痛かったのは、
「もういきまないでいいよ!あとは赤ちゃんが自分の力で出てくるから、ママは力抜いて!」と言われてから。
赤ちゃんがはまっているのか、とにかく痛い……!!!でもいきんじゃいけないの?!いきまなくていいの?!と、私は半分パニックに。
でも、信頼している助産師さんが「力抜いて、大きくフーっと息を吐くの!」と教えてくれたのでそれを信じて待ちました。
そしてお腹の中にいっきにスペースが空くのを感じると同時に聞こえた、我が子の泣き声。
しっかりと大きな泣き声が聞こえた瞬間、私の第一声は「よかった……!」でした。
長過ぎる陣痛でお腹の赤ちゃんが無事に産まれてくれるのか不安になっていたことと、ようやく産めたという安堵で心からでた一言です。
7月4日 15時59分
陣痛開始からちょうど36時間経ち、50.0cm、2968gでようやく会えた元気な女の子でした。
同じものなんて1つもない出産

今回、出産って本当に同じものなんて1つもないんだなと身を持って実感しました。
一番苦労したのは、精神的な部分。
息子を世話する役割が必要だったこともあり、夜中から1人で耐えている時間も長く(というか産む寸前までほぼ一人だった)、じわじわと永遠に続く陣痛が心を消耗させていきました。
でも、出産は決してつらく苦しいだけのものではありません。
ずっと会いたかった赤ちゃんに会えるまでの、最後の道のり。
どんなに長く終わりが見えなくても、必ず幸せな出逢いが待っています。
そして「男は見ているだけで何にも出来ない」なんて思っている、世のパパ達にも伝えたい。
それは違う。そこに居るだけで意味はあります。側にいる、しっかり見届ける、一緒に産もうとする気持ちがママを救います。
本当に長かったし、予想外の連続だった1日半。待っていたのは可愛くてたまらない娘の誕生。
夫の存在の大きさを感じるとともに、ママがいなくてもがんばっている上の息子への愛おしさもまた増す、家族の絆を強めてくた私の36時間の出産記録でした。